第19回八ヶ岳フォトコンテスト
全国から330点のご応募をいただき誠にありがとうございました。(敬称略)
金賞(茅野市長賞)
山湖夜景
根橋 良紀(長野県茅野市) 撮影地:白駒池
【選評】
明暗、色とりどりが綾なす星空と、ほのかに描かれた山の端や湖面との配合が絶妙、湖面に映る星の軌跡が興味深い。的確な露出計算なされてこその夜景らしい夜景で、作者の力量の高さが窺い知れる。
銀賞(茅野商工会議所会頭賞)
北横岳夕照
三平 愛(千葉県千葉市) 撮影地:北横岳
【選評】
樹氷の林と夕方の斜光線と好条件を確実に処理した見応えのある作品だ。作品の柱をなすのは「光の強弱」で、その捉え方の巧妙さが、画面にゆたかな動感、めりはりを生んでいる。遠景の配し方もいい。
銀賞(茅野観光連盟会長賞)
森の小さな生命(いのち)
柏木 洋子(東京都杉並区) 撮影地:にゅう
【選評】
まず、なによりも着眼点がいい。「自分だけの被写体」を探し出そうという、前向きの姿勢が感じられる。作画力も実に見事で、主題である「小さな生命」をたしかな技術で生き生きと描きあげている。
銅賞(八ヶ岳観光協会長賞)
八ヶ岳山麓残照
小松 福司(長野県諏訪市) 撮影地:八ヶ岳農場
【選評】
日没直前の赤い光線と、まもなく望月というまるい月との組み合わせが興味をそそる作品。稜線の左端、右端を上昇、下降と対照的に切り取ったことで動感が生じ、画面にとって好ましい刺戟になっている。
白い花の咲く頃
菊池 清人(長野県臼田町) 撮影地:野辺山
【選評】
野辺山高原からの赤岳と横岳である。白い花はズミであろう。青と緑と白と寒色だけで構成された、清涼感あふれる作品だ。この作品の一番のポイントはズミの木の配し方。位置、大きさともに申し分ない。
夕陽を浴びて
関根 捷洋(栃木県足利市) 撮影地:坪庭
【選評】
夕陽に染まる明部の赤とシャドウ部の青とが絡み合って美しい色模様をみせている。美しさとともに静かさ、爽やかさの感じられる夕景だ。画面構成よし、露出よし。しっかりとつくられた秀作である。
ラムダ賞
茶水の池
伊藤 長治(長野県茅野市) 撮影地:麦草峠
【選評】
茶水池は、麦草峠近くにある湿原状の平凡な池。その池を題材に、1本の枯れ倒木をうまく使って、非凡な絵に仕上げている。「雪化粧」の好条件に負うところの大きい作品だが、構成力の勝利でもある。
モンベル賞
霧の白樺林
関 武文(長野県岡谷市) 撮影地:八千穂高原
【選評】
情緒的な作品である。作画上でいえば、細かな配慮の窺われる作品だ。手前に3本、左手に4本、右奥に5本と異なる数の立ち木を配した点にまずそれが感じられる。それぞれの配置も行き届いている。
長野日報社賞
苔の王国
宮本 宏明(神奈川県横浜市) 撮影地:白駒池付近
【選評】
栂の大木が茂る原生林をシャープに写しとめている。隅々までピントの行き渡ったそのシャープさが印象的だ。明るい若草や斜めの線をなす倒木を手前にそつなく配した「味付け」に作者の年功が感じられる。
茅野市民新聞社賞
メルヘン街道のメルヘン
守屋 萬吉(長野県茅野市) 撮影地:メルヘン街道
【選評】
周囲の寒色に映えるレンゲツツジの朱色が印象的だ。好場面を見つけだし、数本のシラカバをバランスよく配するなど手際よく作画している。タイトルは疑問。もっとふさわしいものがなかったろうか。
努力賞
精霊の戸惑い(赤岳のおこじょ)
古川 深(東京都江東区) 撮影地:行者小屋付近
【選評】
AFカメラのおかげとはいえ動きの速いオコジョを的確に捉えた点を買った。目に光もはいっており、獰猛にして愛すべき小獣がはつらつと表現されている。周囲の枝葉が、雰囲気づくりにいい働きをしている。
夕照の岳(やま)
岩渕 幹夫(神奈川県寒川町) 撮影地:赤岩の頭
【選評】
赤岩ノ頭付近は冬の人気撮影ポイントのひとつ。本作品も、そこにおけるものだ。夕方の低く赤い光線で、風紋の雪面を立体感ゆたかに美しく捉えている。対照的な趣をもつ後景を配した画面構成もそつがない。
涼
片山 正昭(千葉県八千代市) 撮影地:吐龍の滝
【選評】
縦位置画面の天地いっぱいに流水を配したダイナミックな作品。新緑、苔など静的な被写体を対置させたことで、流動間がいっそう強調されている。画面左に配された細い流水が、この作品のポイントだ。
渓流に咲くミヤマハンショウヅル
藤森 正人(長野県諏訪市) 撮影地:美濃戸北沢
【選評】
赤紫の花と明るい緑の葉とが、目にやさしい色彩対比をつくりだしている。直線的な蔓と半鐘形のまるい花との形の対象もおもしろい。見る者の心を和ませる「やさしさ」が、この作品の身上であろう。
流れる雪紋
菊池 清人(長野県臼田町) 撮影地:野辺山
【選評】
タイトルから想像すると、作者の主眼は後景の雪面にあったようである。しかし実際は、添景のつもりで配したものであろう手前のかん木が主役になっている。題をかえたい。しかし目のつけどころはいい。
朝の赤岳
柳沢 益喜(長野県富士見町) 撮影地:山梨県まきば公園
【選評】
浅いV字をなす斜面に山体をのせるという構成はきわめて正統的、常套的だが、それだけに安定感、重厚さがある。朝方の低い光線によって生まれた適度なシャドウ部が画面をほどよくひきしめている。
壁
岸田 明(神奈川県横浜市) 撮影地:赤岳鉱泉下
【選評】
大同心・小同心の岩壁が見事な聳立感をもって捉えられている。縦位置画面をフルに活用した、迫力のある作品だ。その迫力を損なわない程度に配された前景の木立が、画面が単調になるのを救っている。
凍る樹木
中川 和夫(長野県茅野市) 撮影地:中山乗越
【選評】
文様風、パターン風の洒落た作品である。この類の画面作りでは、どこを切り取るかがまずポイントになるが、本作品は適切な見極めをしている。画面右上に感ずる「斜めの線」が効いている。
エビノシッポ
三藤 弘(愛知県名古屋市) 撮影地:硫黄岳
【選評】
強風で有名な硫黄岳。そこに立つ道標に発達した「エビの尻尾」が題材。背景が白いため、やや存在感に欠けるが造形的に面白さは充分に感じられる。青空が多く背景となるよう、アングルを工夫したかった。