第25回八ヶ岳フォトコンテスト
全国から103名、235点のご応募をいただき誠にありがとうございました。(敬称略)
【総評】
四半世紀を迎えた八ヶ岳観光写真コンテストは、今年も力作を多数迎えて感動的でした。特に山と人と云うテーマに興味ある作品が多く寄せられた事が面白かったと思います。もう少し新所を掘り下げて人間味のある作品が出て来ればとも考えています。無論、より超自然賛美の芸術作品も大切です。(審査アドバイザー:武藤 昭)
茅野市観光連盟会長賞
黄金色の森へ
石川 恭司(埼玉県さいたま市) 撮影地:稲子湯付近
【選評】
秋深く紅葉も散り、黄金色の落葉松の葉も最期の華やぎを紺碧の空に誇る北八ヶ岳の林。そこを歩く山人と落葉松林の逆光のドラマが美しい。林の構図が良く、左、中央、右にシルエット気味の樹木を配したのがこの絵の構図を成功させている。実にゼッタに残る緑色が画面を引き締めている。
八ヶ岳観光協会会長賞
雨上がりの登山道
滝 和彦(静岡県静岡市) 撮影地:天狗岳
【選評】
長い刻の流れの中で自然が創った石と樹林の見事な造形。湿り気の漂う中での落葉の黄色が輝いている。落ち着いた構図で安心して見られる絵だ。
茅野商工会議所会頭賞
爽秋
並木 孝男(東京都江戸川区) 撮影地:八ヶ岳牧場
【選評】
今将に紅葉する大樹の華麗な姿を群青色の空間が圧倒的である。その奥に静かに並ぶ森と八ヶ岳の山々、此処には時が有り、命の喜びがある。紅葉の赤と青空のグラデーションが見事。その下の山々と雲のバランスも程良い。
小海町観光協会長賞
デュエット(ギンボシヒョウモン)
有井 寿美男(長野県佐久穂町) 撮影地:小海町
【選評】
鋭いトゲを広げるアザミの紫に、秋を代表するが如き黄金色のギンボシヒョウモンが二匹。艶やかな季節の瞬間である。命の刹那さを思うのは、感じ過ぎだろうか。出来たら左右をもう少し切ってタテ位置の絵にしたかった。
佐久穂町観光協会長賞
陽は昇る
土橋 和夫(長野県小海町) 撮影地:八千穂レイク
【選評】
陽の出、落日の絵は多いが、この作品の赤と黒に絞った配色とコンポジションが美しい。フィルターによる色調も程良く、中央手前のシルエットが昇る太陽に一層のドラマと情感を演出している。
ラムダ賞
横岳吹雪止む
渡邉 源一(福島県二本松市) 撮影地:赤岳展望荘
【選評】
横岳を越え赤岳に向かう山男を主役に冬山と人間を表現している処が良い。厳冬の山とは、山が趣味を持ち挑戦しなければ何のドラマも生まれない世界である。そしてその厳しさと困難さを突き抜けた時にこそ、その行為の充実感と喜びが存在する。頂稜から上部の画面処理が良く、高さと大きさを良く表現している。手前の岩稜を控え目に入れる事で空間処理が上手に出来ている。
モンベル賞
残月
田中 五男(群馬県前橋市) 撮影地:野辺山
【選評】
八ヶ岳を東側から見た赤岳とその右の尾根上の天望荘。暗黒の中の濃紺の天空に雲に隠れた月が滲む。その形が帽子の様でもあり、UFOにも思え幻想的である。左の岩塔の鋭さが画面全体のバランスを取り、頂上山荘の光や横岳への尾根のうえに輝く星たちが空間の広大さを表現して美しい。
信濃毎日新聞社賞
静寂
真次 光毅(長野県佐久市) 撮影地:八千穂高原
【選評】
落日の後の余光が赤紫の濃淡を広い湖面に演出し、更にその奥に広がる森に続いてゆく。残陽に輝く雲が湖面に滲み、昼間の温もりが水面に陽気を流す。人里離れた自然の中で静かに展開するドラマ。魂の鎮魂に連なる時刻である。
長野日報社賞
華やかな稜線
輿水 忠比古(山梨県北杜市) 撮影地:横岳
【選評】
朝日に輝くチョウノスケソウ、オヤマのエンドウ、コイワカガミ、など初夏の八ヶ岳は花の大舞台である。雨季から始まる八ヶ岳の花の競演は素晴しく、人知れずその華麗さを空に晒しています。背景の暗部に赤岳や権現岳、南アルプスのシルエットも深みを表現して美しい。
茅野市民新聞社賞
イワベンケイの住み処
小平 憲一(長野県茅野市) 撮影地:横岳
【選評】
雄々しい八ヶ岳の火山岩の中に、生き生きと輝く夏のイワベンケイ。さわやかな夏雲と見事な赤岳を背に咲き誇る花たちの構図が良い。
八ヶ岳特別賞
【八ヶ岳特別賞 総評】
応募作品の写真表現のレベルが高く、美しい作品が揃っていた。だた最近の絵は、どうしても色が濃く、ともすると暗過ぎるトーンに成ってしまう。もう少し色バランスを工夫して、爽やかなグラデーションで品の良いものを創りたいものです。
蓼科高原賞
【蓼科高原賞 総評】
いろいろ面白い被写体を写したり、人を入れたのも良いでしょう。ただ、人と背景の位置が重なってしまったり、アングルをもっと工夫することで、絵がもっと生きてきます。八ヶ岳の冬は、厳しさは出ていますが、光の使い方が少し重すぎたようです。華とカモシカをとらえた瞬間は、バランスとまとまりが素晴らしいです。