第28回八ヶ岳フォトコンテスト
全国から118名、267点のご応募をいただき誠にありがとうございました。(敬称略)
【選評 / 武藤 昭(審査アドバイザー)】
茅野市観光協会長賞
朝日に輝く
佐々木 浩(長野県北佐久穂町) 撮影地:小海町
【選評】
湖面に伸びた木々の優雅なシルエットとその先に舞うナナカマドの爽やかな新緑の美しさが早朝の青空に舞う。そのドラマを湖面の輝きと朝霞が画面の下から支え安定した構図の中心から光が広がる秀作である。欲を云えば、もう少し風を感じたかった。
八ヶ岳観光協会長賞
厳冬期の阿弥陀南陵
脇坂 恭司(東京都町田市) 撮影地:阿弥陀岳南陵
【選評】
阿弥陀岳の南稜はアプローチも長く、特に冬はハードなコースである。森林限界を越えるこの辺りからは極寒と風雪の世界。次々と折り重なる岩塊と雪壁の構成が厳しく美しく、右手の岩稜も全体の迫力に力を添えている。峻厳な山の美しさはやはり冬に極まる。
茅野商工会議所会頭賞
秋彩の岩壁
長田 英夫(長野県茅野市) 撮影地:赤岳行者小屋前
【選評】
秋空に浮かぶ大同心から続く横岳の岩壁。それをひき立てる黄金の帯を緑から里への針葉樹の帯。最後に画面全体を秋色の美しさで決めた赤がこの作品の価値を決めている。この位置からのカットでこれほど見事な色のバランスが撮れたのは素晴らしい。もう少し岩壁のトーンが濃いともっと絵が引き締まるのだが。
小海町観光協会長賞
浅秋の白駒池
須藤 東二(群馬県前橋市) 撮影地:白駒池
【選評】
秋の白駒池の作品は数多く見るが、これほど軽妙に美しさを表現できたものも珍しい。湖面に映る森や空と雲、画面手前の浅い緑やナナカマドのオレンジ等を上手に配し、4本の樹を背景の紅葉の中にリズミカルに配した構図は出色である。この作品の中では、それが必然とも思えるのだが、やはり水平は少し直した方が良いだろう。
佐久穂町観光協会長賞
吸みつ-アサギマダラ
有井 寿美男(長野県佐久穂町) 撮影地:八千穂高原
【選評】
人が瞬時にしか見られないドラマ、それを定着出来るのが写真や映像の世界である。しかもそれを作るにはかなりの緻密な計算を必要とする。アサギマダラをこれ程美しく画面に定着させたのは見事である。映像からの引出しでは無く、写真で作るには相当な動体視力と反射神経を必要とします。
ラムダ賞
夕照の峰々
並木 孝男(東京都江戸川区) 撮影地:三ツ頭
【選評】
雪化粧した峰々と程良く配置された雲を背景に風雪で作られた冬の芸術に感動する。八ヶ岳の写真では珍しいカットなのは、作者がこのポイントを見つけた事と厳冬の時期に時間をかけた努力の結果である。
モンベル賞
静かな夜のひととき
田原 伸一(神奈川県横浜市) 撮影地:行者小屋
【選評】
都会を出て数時間、情熱と努力でこれ程美しく、絶対的な静寂の夜を確保できるのが冬の山であろう。山並みに囲まれた暗がりの重さと天幕の光のバランスが広さと静けさを感じさせる。デジタルカメラの時代だから表現できる華麗な天体の輝きは格別な幻想の世界である。題名のつけ方がもう少し文学的だった方が・・・。
信濃毎日新聞社賞
夜明けの赤岳
吉田 昌樹(岐阜県山県市) 撮影地:八ヶ岳横岳
【選評】
画面半分以上を冬の赤岳の雪壁でとり、夜明けの表現をしたのが良く、更にその奥に村や街の光の広がりが在り、最奥に霊峰富士を配したところがダイナミックさを感ずる。赤岳からの美しい雪の稜線と展望荘の灯が冬の山を好む人の心に沁みる。
長野日報社賞
秋朝の赤岳
舟橋 恵子(愛知県小牧市) 撮影地:横岳
【選評】
秋雲の美しさに感動して作られた作品。なかなかこんな雲には出会いえないものである。秋色の山肌も重みがあり、しっかりと画面を引き締めている。もう少し赤岳を主役として入れ込んで欲しかった。富士山のシルエットも浅くて残念である。
茅野市民新聞社賞
晩秋の里
国枝 英一(東京都八王子市) 撮影地:尖石遺跡近く
【選評】
稲刈りが済み、田にトヤが並ぶ和やかな秋日より。遠景の紅葉の森林帯の上に広がる権現岳、赤岳から硫黄岳への山並みは茅野市ならではの絶品の風景である。小生もこの風景と在る為に東京を離れました。この作品は出来れば初冠雪を入れ込みたかったですね。一番手前のトヤはもう少し右にずらしたい。
八ヶ岳特別賞
【八ヶ岳特別賞 総評】
各作品のレベルは年々高くなり入選も可能な方々が多いです。作画の前に何をどう表現するかを明確に持ち、大自然と戦う姿が感じられます。これからも益々熱い心情で作画を楽しんで下さい。私が提言した「山と人」のテーマも少しづつ詩情豊かにドラマ化されて来ました。感謝!
蓼科高原賞
【蓼科高原賞 総評】
単に山だけに向かず色々なモチーフを自然の中に見て、時に詩的に文学、絵画、自然科学の範囲まで発展して来た作品を見て楽しい限りです。デジタルとハイビジョンの映像があふれる時代にもっと変化に富んだ発想を期待します。