第30回八ヶ岳フォトコンテスト

全国から127名、303点のご応募をいただき誠にありがとうございました。
【選評 / 武藤 昭(山岳映像作家・武藤プロダクション主宰)】



茅野市観光協会長賞

夕映えの横岳

佐藤 孝也(愛知県瀬戸市) 撮影地:赤岩ノ頭

【選評】
厳冬の落日の燃える色が氷雪を染めて美しい。大同心を中央に若々荒々しい岩場が並び、その影が立体感を出し更に後の横岳を引き立て見事である。赤岩の頭からのこのアングルは赤岳より厳しい岩場を表現していて新鮮である。山麓からみる横岳は横長で阿弥陀岳や赤岳の横で魅力に欠けるが、こうしたアングルを見つけるのがカメラマンの眼力である。


八ヶ岳観光協会長賞

夏空に輝くダケカンバ

清野 秋雄(長野県茅野市) 撮影地:雨池

【選評】
深い樹林と池の北八の中で雨池は大変静かで美しいが、この池をテーマに作られる作品は深い森と水面の映り込みを基調としたものが多いのに対し、湖畔に自由に伸びた岳樺のダイナミックなフォルムを大きく表現して雨池を押さえ込んでいる。逆光に輝く樺の木肌や葉が美しく爽やかな夏の高山の風さえも感じさせている良い空気観のある作品です。


茅野商工会議所会頭賞

カモシカの兄弟

尾形 清(山梨県北杜市) 撮影地:夏沢峠

【選評】
元来カモシカは単独で生きる習性の動物であるから、これは実に珍しいカットである。対応する斜面で思わず作者に気付き振り返ったところのとても魅力的二頭のポーズが素晴らしい。深い雪の感じと唐松の小枝の配置も良いバランスだ。何か面白いコピーを考えて手前のカモシカに何か言わせて笑いを取りたいような気さえする。ひとつ問題が審査中に派生したのだが、動物に詳しい山小屋の主人の言では、カモシカは兄弟では絶対に行動しない様である。多分この二頭は親子で手前が子供で奥が母であろうとの事です。


小海町観光協会長賞

燃ゆる秋

宮島 順子(長野県飯田市) 撮影地:白駒池

【選評】
白駒池の紅葉を斜めに切り取り奥行きを出したのは良い思いつきである。手前から強い赤と常緑のシャクナゲが層に成り遠くへ伸びゆき、奥から流れ出る霧が美しい暈しの効果を成り良い。湖面の中央の何故か円形の水草が重要な画面構成のポイントと成り、更に画面手前まで広がる暗色の波が全体の格調を作っている。右端にカモが居るが、画面中央右寄りを泳いでいるともう一味画面が生きたでしょう。


佐久穂町観光協会長賞

錦秋を映す

奥原 静男(長野県佐久市) 撮影地:双子池

【選評】
北八ヶ岳で最も美しいこの池は神の与えてくれた宝とも云えるものである。湖面に映る紅葉のにじみが素晴らしい。右端の赤い紅葉を切り湖面へとアングルを下げるとより幻想的な表現に成ったと思う。湖面のにじみも美しいし、よりクリエイティブな造形に成るのではないでしょうか。


南八ヶ岳賞(30回記念賞)

赤岳.リフレクション

永島 一広(東京都武蔵野市) 撮影地:地蔵の頭

【選評】
朝日の中に輝く赤岳と富士山の姿はよく見る風景だが美しい。小屋の光もオーバー気味に露出され美しい。ただ空の分量が多くて残念だ。もう少し上を切ると山の迫力が表現されて落ち着くと思う。


北八ヶ岳賞(30回記念賞)

張り巡る生命

今井 薫(長野県伊那市) 撮影地:にゅう登山道

【選評】
北八ヶ岳独特の根のパターンですが、よく見るとなかなか面白いものですね。命と云うものはこうして生きながらえていくものです。緑と根の茶色が美しいバランスで表現されています。


ラムダ賞

緑に包まれて-ホンドモモンガ

柳平 直幸(長野県茅野市) 撮影地:北八ヶ岳

【選評】
緑の白樺の葉の中で生き生きと躍動してるモモンガが素晴らしい。枝とモモンガのポーズも良いバランスで次に移行する動作が想像できる。よくぞこんな場面に出会えたものだと感心する。欲を言えば、もう少しモモンガの眼にピントが合っていれば、より良かったと思う。愛すべき作品である。


モンベル賞

高原の朝

小口 善三(長野県岡谷市) 撮影地:八島湿原

【選評】
シシウドのダイナミックなフォルムをセンターにして天中の太陽を主役にしたのは良くある構図だが面白い。背景に広がるヤナギランも奥行を表現しているし、更に奥の草原もロマンティックで良い。もう一つ望むとすれば風でシシウドがブレるとか、鳥が抜けてゆくシルエットなどのドラマが欲しいですね。


信濃毎日新聞社賞

光る諏訪湖

北澤 利一(長野県駒ヶ根市) 撮影地:赤岳頂上山荘前

【選評】
光輝く諏訪湖の湖面に圧倒される。雲間から決定的な角度で光が入らなければこの風景は出来ない。こう云うのをシャッターチャンスと云うのだ。奥の方に点在する街の光も美しい。何と云っても上空の雲の色と青空の美しさが素晴らしい。左手の雲のやさしさも大きな力と成っている。一瞬にして出来たファンタスティック・ワールドである。


長野日報社賞

八ヶ岳から昇る天の川

北原 久司(長野県岡谷市) 撮影地:女の神展望台

【選評】
昭和15年生まれの私としてはこんな天空を写真で写す事が困難でしたが、デジカメの時代にはこの表現が可能なのです。私の経験では五千米から六千米のヒマラヤの夜でもここ迄は明るく成りません。街の光と満天の星空が困る程見事に表現されています。これはクリエイティブな世界です。


茅野市民新聞社賞

黄金色の朝

太田 秀男(長野県駒ヶ根市) 撮影地:北横岳付近

【選評】
しらびその森と旭の照る八ヶ岳が見事に輝き美しいです。手前の池の色も重要ですが、中間のシャドーが重要な役を果たしています。横岳、赤岳、阿弥陀、権現も美しい。もう少し左を切って絵をシャッキリさせたいですね。


八ヶ岳特別賞

赤岳夕照

小島 輝夫(神奈川県横浜市)
撮影地:権現岳

夕暮れ迫る天狗岳

太田 秀男(長野県駒ヶ根市)
撮影地:黒百合平

ツクモグサ3兄弟

佐藤 孝也(愛知県瀬戸市)
撮影地:横岳稜線

吹雪のあと土産

須田 敏男(岡山県岡山市)
撮影地:箕冠山

雪化粧の横岳

脇坂 恭司(東京都町田市)
撮影地:赤岳鉱泉

秋の気配

清野 秋雄(長野県茅野市)
撮影地:醤油樽の滝

夕焼けに立つ

鮎沢 克好(長野県諏訪市)
撮影地:青年小屋

苔のバスタオル

戸谷 省吾(長野県伊那市)
撮影地:白駒池付近

【八ヶ岳特別賞 総評】
益々色々な作品が生まれ楽しませてもらいました。これからも頑張って作品を作ってください。ものを見る眼とは発見の連続なのです。いつも新しいものを発見して行きましょう。今回の作品も前回に増してよりインパクトのあるものでした。


蓼科高原賞

花鳥風山

永島 一広(東京都武蔵野市)
撮影地:横岳

稜線歩き

伊藤 正子(愛知県名古屋市)
撮影地:横岳

蕎麦の盛り

清水 節郎(東京都三鷹市)
撮影地:尖石遺跡そば

九輪草郡生

林 良一(長野県松本市)
撮影地:醤油樽の滝

時満ち渡る

福田 雅人(長野県松本市)
撮影地:雨池

冬間近の蓼科湖

小口 照人(長野県岡谷市)
撮影地:蓼科湖

白駒の朝

大江 雅史(愛知県一宮市)
撮影地:白駒池

星降る山小屋

朝山 まり子(東京都世田谷区)
撮影地:黒百合ヒュッテ

金秋の蓼科高原

長田 英夫(長野県茅野市)
撮影地:蓼科高原

シャッターチャンス

谷本 修一(埼玉県川口市)
撮影地:白駒池

夏の高原と八ヶ岳

佐川 隆博(長野県茅野市)
撮影地:

秋へと続く道

金原 智(愛知県名古屋市)
撮影地:横谷観音駐車場

八ヶ岳遠望

牧内 英文(長野県松本市)
撮影地:ビーナスライン

彩流

加藤 一男(神奈川県秦野市)
撮影地:杜鵑峡

湖畔の夜明け

佐川 隆博(長野県茅野市)
撮影地:白樺湖畔

若葉輝く

小泉 正樹(長野県佐久市)
撮影地:御射鹿池

夕映えの赤岳

川合 久司(岐阜県中津川市)
撮影地:中山尾根展望台

ゴジラとライオン

五味 輝夫(長野県茅野市)
撮影地:坪庭

森の神に抱かれて

今井 薫(長野県伊那市)
撮影地:にゅう登山道

自然のテーマパーク

川合 久司(岐阜県中津川市)
撮影地:白駒池


【蓼科高原賞 総評】
いつもながら色々とアイディアを見せてくれて楽しいものでした。これからもより面白い作画に努力して下さい。